ホンダは2013年10月31日、フルモデルチェンジして5代目となった新型オデッセイを発表した。発売は11月1日から。中部地区での発表会が行われたウェスティンナゴヤキャッスル(名古屋市西区)からリポート。
ついに両側スライドドアを採用。全高を150mmもアップ
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本田技研工業の日本四輪生産統括責任者 山根庸史氏(右)と、日本営業本部 販売部 部長の加藤成昭氏
初代オデッセイは1994年に登場。アコードをベースに、低い全高や前後ヒンジドアを持つ先駆的な“ミニバン”として、ホンダ自身も驚く大ヒット車となった。キープコンセプトで2代目となった後、3代目では全高を一気に低くし、その流れで4代目に進化。3列シートではあるものの、3代目以降はスポーティな走りやスタイリングをより重視したモデルになっていた。
そして今回の5代目では、再び方向性を大転換。ボディサイズは全長と全幅こそ先代と大差ないが(全長は30mm伸びただけ)、全高は一気に150mmもアップ。また、ホイールベースは70mm伸びて、エリシオンと同じ2900mmになった。実は今回のオデッセイは、国内ではエリシオンの後継モデルでもある。
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ボディサイズは全長4830mm×全幅1800mm(アブソルートは1820mm)×全高1685~1695mm(4WD車は1715mm)
また、一目で分かるのが、歴代オデッセイの特徴でもあった前後ヒンジドアを廃止し、ついに両側スライドドアを採用したこと(全くの別物となる北米向けオデッセイでは以前から採用されているが)。同時に、ホンダお得意の底床化がさらに推し進められ、室内高は先代より105mm多い1325mmにアップした。実のところプラットフォームは現行ステップワゴンがベース。今回はそれを燃料タンクの薄型化などで、さらに超低床化したものになっている。2列目のステップ高は、約30センチしかない。
プレミアムクレードルシートを採用。サードシートは3人掛けに
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最近のホンダ車とは異なり、シンプルな造形のインパネ。エアコン操作パネルは流行りのタッチ式になった
新型の乗車定員は、7人乗り(2-2-3)もしくは8人乗り(2-3-3)。7人乗りでは、セカンドシートが中折れ機能やオットマン機能を備えたキャプテンシートタイプの「プレミアムクレードルシート」になる。
また、サードシートは従来通り、後ろに反転して床下にスッポリ収納できるものだが、このシート自体もステップワゴンをベースにしたものだそうで、ゆったりした3人掛けが可能になった。
2.4リッター直4+CVTを搭載。アブソルートは直噴に
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低床を売りとするホンダ製ミニバンだが、新型オデッセイのそれはさらに低く見える
パワートレインは新開発の2.4リッター(2356cc)直4とCVT(無段変速機)の組み合わせ。普通のオデッセイ(175ps)は一般的なポート噴射だが、スポーティな内外装や足回りを持つオデッセイ アブソルート(190ps ※4WD車は185ps)は、新開発の直噴になった。全車レギュラーガソリン仕様で、JC08モード燃費はオデッセイで12.4~13.4km/L(4WDは11.6~12.8km/L)を、直噴のアブソルートでは13.6~14.0km/L(4WDは13.0km/L)とクラストップを達成した。
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3人掛けになった3列目。天井が高くなったことで、閉塞感も一掃された
安全装備に関しては、新型フィット同様に、30km/h以下で有効な低速域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能「シティブレーキアクティブシステム」を1列目サイド&カーテンエアバッグとセットで、タイプ別に設定。さらにオデッセイでは、ミリ波レーダーを使ったより高度なCMBS(衝突軽減ブレーキ)を最上級グレード「EX」にオプションで用意する。
249万円からスタート。目標は月4000台
グレードは「B」「G」「G EX」、そして「アブソルート」「アブソルート EX」の5種類で、価格は249万円~373万円(4WD含む)。
ハイブリッドモデルは目下「検討中」とのことだが、そのニュアンスから見て、開発自体は進んでいると思われる。
生産はこれまで通り埼玉製作所(埼玉県狭山市)で、販売目標は月間4000台。
デイズのコメント
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短時間ながらアブソルートに試乗できた。新型にはアイドリングストップが採用されている
今回はとにかく、空間の広さを第一に追求したオデッセイ。大ヒットした初代以降のコンセプトからはズレてきたように見えるが、昨今の技術ならオデッセイらしい、しっかりした走りを実現した上で、この空間をも獲得できるということだろう。それこそが20年弱の進化の成果ということ。エリシオンもラインナップから消え、ホンダの場合、上級ミニバンの選択はこれ一本となった。ということで、確実に一定数が売れる地位にあり、両側スライドドアなどミニバンとしてスタンダードな装備も抑えた、手堅い作りの1台となった。その分、面白みに欠けるように見えるのは致し方ないところか。