世界最高の自動車を目指して開発
メルセデス・ベンツ日本は8月23日、同ブランドの旗艦であるSクラスを8年ぶりにフルモデルチェンジして発表した。10月1日から予約注文を開始する。
新型Sクラスのプレス発表会は、晴海埠頭に停泊する豪華客船にっぽん丸の船上で行われた。プール等のある7階スポーツデッキには2台のSクラスを展示。プレゼンテーションでは、ダイムラーAGのデザイン統括(バイスプレジデント)であるゴードン・ワグナー氏が、クラシックなフォルムと流麗なシルエットを持つ新型Sクラスのデザインを、日本の禅にも通じるセンシャルピュアリティと表現。1930年代のメルセデスに見られたクラシックなエレガンス、感性に訴えかける知性がテーマであると説明した。またマーク・ボデルケ メルセデス・ベンツ日本副社長(営業・マーケティング)が新型車の解説を行った。
新型Sクラスについて、最初に紹介されたのはインテリジェント機能。豪華さや走り、そして燃費でもなく、まずは安全装備を最初に紹介したあたりに、日本市場に対する姿勢がよく分かる。ステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーを組み合わせたインテリジェントドライブにより、快適性と安全性は飛躍的に向上。ステアリングアシスト付きの先行車両自動追従機能、飛び出し検知機能付きブレーキアシスト、レーンキーピングアシスト、アダプティブハイビームアシスト、不注意・眠気警告などを備えるほか、赤外線カメラによるナイトビューアシストには、歩行者のみにスポットライトを当てる機能もついた。リアシート乗員のためには膨張型シートベルト、サブマリン効果を防ぐシートクッション内のエアバッグなどの新機能が用意されている。
インテリジェントドライブは快適性にも貢献し、新開発のマジックボディコントロールは、カメラによって前方の路面を認識し、130km/hまでの範囲で油圧サスペンションのダンピングをコントロールして快適なフラットライドを実現するという。
日本仕様はS400 ハイブリッドの1090万円から
インパネには2分割可能な12.3インチの大型ディスプレイがあり、速度計やナビのほか、様々な情報を表示できる。また、世界で初めてライトバルブが全廃され、光量切り替え機能のある約500個のLEDが使われた。
そしてSクラスの場合、アジアではショーファードリブンが多いことから、今回はロングボディを標準として開発されており、特に後席の快適性が重視されている。エクゼクティブシートは43.5度までリクライニング可能で、世界初のホットストーン式マッサージ機能も用意された。
ラインナップは3.6リッターV6直噴エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせた「S400 ハイブリッド」(1090万円)と「S400 ハイブリッド・エクスクルーシブ」(1270万円)、4.7リッターV8直噴ツインターボの「S550ロング」(1545万円)、5.5リッターV8直噴ツインターボの「S63 AMGロング」(2340万円)、5.5リッターV8直噴ツインターボのS550 4マティックロング(2340万円)。期待のディーゼルハイブリッドは、数年中に日本へ投入される予定。
デイズのコメント
考えつく限りのハイテク安全装備がこれでもかと載せられており、その点では最高の高級車というだけでなく、世界最高峰のインテリジェントカーになっている。走りや快適性だけでなく、安全性が強調されているあたり、この分野でもドイツ車が先行している感は強く、日本車はまたもフォロワーとなるしかない。「ほんとに大丈夫か、日本」と思わず、にっぽん丸の上で嘆いてしまった。