キャラクター&開発コンセプト
すべてを一新。最新技術を採用した第3世代
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新型MINI(F56型)のクーパーとクーパーS
(photo:BMW AG)
欧州では2013年秋に、日本では2014年4月12日に発売された新型MINI(ハッチバック)は、「BMW MINI」としては、2002年登場の初代(R50、R53型)、2007年登場の第2世代(R56型)に続く第3世代。開発コード名は、最新のBMWブランド車と同じ「F」から始まる「F56型」になった。
全車ターボエンジンに。クーパーは3気筒
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右からクラシック(ローバー)MINI、初代BMW MINI(R50型)、2代目(R56型)、そして今回のF56型
(photo:BMW AG)
新型MINIは、基本コンセプトや基本デザインを先代から継承しつつ、外装、内装、プラットフォーム、パワートレインなどのハードは全て一新。先代と同じパーツは一つもない、まったく新しいモデルになった。
特にエンジンは、BMWブランド車でも今後共有してゆく新開発1.5リッター3気筒・直噴ターボ(クーパー)や、2.0リッター4気筒・直噴ターボ(クーパーS)を新採用。加えてAT車にもアイドリングストップ機能を新採用することで燃費性能を改善した。また、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)、ACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)などの先進安全装備も新採用するなど、安全装備もアップデートされている。
価格帯&グレード展開
クーパーの6ATで280万円。Sは52万円高
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新型MINI クーパー
(photo:BMW AG)
今回、日本に導入されたのは、1.5リッター直3ターボの「クーパー」(6MTと6AT)と、2リッター直4ターボの「クーパー S」(6MTと6AT)。従来はクーパー=自然吸気、クーパー S=ターボという図式だったが、新型はすべてターボになった。
価格(消費税8%込み)は以下の通りで、クーパーより52万円高いクーパーSには、新開発のナビゲーションシステム、クーパーより1インチアップの16インチホイール、LEDフォグ・ライト&ヘッドライト等が標準装備になる。また、オプションも相変わらず豊富で、今回はついにヘッドアップ・ディスプレイや電子制御可変ダンパー、自動操舵付のパーキング・アシスト(縦列駐車のみ)まで、クーパーとクーパーSの両方に用意された。まるで高級車。
なお、欧州では2014年3月に1.2リッター直3ターボ(欧州仕様で102ps、18.4kgm)の「ワン(One)」が発表されており、日本でも今秋には追加されるはず。欧州には1.5リッター直3ディーゼルターボもあるが、こちらの導入計画はない。
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新型MINI クーパーS
(photo:BMW AG)
■MINI Cooper 1.5L 直列3気筒ターボ(136ps、22.4kgm)
266万円(6MT)/280万円(6AT) ※今回の試乗車
JC08モード燃費:19.2km/L(6MT)/17.9km/L(6AT)
■MINI Cooper S 2.0L 直列4気筒ターボ(192ps、28.6kgm)
318万円(6MT)/332万円(6AT)
JC08モード燃費:15.8km/L(6MT)/17.6km/L(6AT)
パッケージング&スタイル
ボディパーツを一新。よりスポーティに
素人目には「どこが変わったの?」と言いたくなる外観だが(実際、取材中にそう言われた)、先代と同じパーツは一つもない。具体的には、先代ではアッパーとロアーで別々だったフロントグリルは、新型では上下一体型の現代的なデザインになり、ノーズは歩行者保護対策で先代よりすっと伸び、ボンネットも厚みを増している。また、LEDヘッドライト装着車にはLEDのデイライトリングが備わるようになった。
ドアや前後フェンダーといったボディパネルも、抑揚がS字になって表情豊かに。またリアも明確に先代とは異なり、リアコンビランプが一回り大きくなって、愛嬌のある形になった。細かいところではリアの「MINI バード・ロゴ」がリアゲートパネル直付から、ライセンス・フィニッシャー配置になったり、側突対策でBピラーが太くなったりしている。全体的には、よりスポーティになり、Cd値も0.28(クーパーSは0.31)と、最新エコカーレベルに向上した。
MINIもついに3ナンバー幅に
プラットフォームは完全に別物で、ボディサイズは全高を除いて、全体に少しずつ大きくなった。クーパーの全長は95mm伸びて3835mmになり(クーパーSは115mm伸びて3860mm)、ホイールベースは30mm伸びて2495mmに。また、これまで5ナンバー枠に収まっていた全幅は40mm増しの1725mmと、ついに3ナンバー幅になった。おかげでMINI(小さい)という感じは少し薄れ、ほぼ現代のBセグメントカー並みのサイズになった。
インテリア&ラゲッジスペース
センターメーターを廃止。機能性重視で模様替え
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新型MINIでは、センターメーターならぬセンターディスプレイがインパネの中心に据えられた
インパネで従来モデルと違うのは、まず例の大型センタースピードメーターが消えたこと(デザイン的には面白かったが、視認性はまったく考慮されていなかった)。これに伴い、スピードメーターは運転席正面に移動。インパネ中央には代わりに、ナビゲーション・システム用の8.8インチワイドディスプレイが埋め込まれた(クーパーではオプション)。
また、ナビ装着車にはBMWで言うところのiDrive コントローラーに相当する「MINI コントローラー」が備わる。デザインはMINI専用で、地図のスクロール、拡大・縮小が出来るほか、文字の入力なども出来る(左手なので難しいが)タッチパッドも備える。
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オプションの電動昇降式ヘッドアップ・ディスプレイ(車速、ナビの案内、オーディオ等を表示)
(photo:BMW AG)
機能的になったと言えば、パワーウインドウの開閉スイッチがセンターコンソール配置のトグル式から、一般的なドア配置になったのも大きな点。ドアのアウターハンドルも新設計で、使い勝手は明らかに良くなった。また、「コンフォート・ゴー」と呼ばれるスマートキーも採用され、エンジン始動・停止はセンターコンソールの赤いトグルスイッチ(ジャガーみたいに赤い照明が明滅している)で行うことになった。
パッケージング面では、後席と荷室が従来モデルに比べて明らかに広くなり、4人乗りコンパクトカーとしては常識的な実用性を得た。MINIがミニじゃなくなることには賛否もあるだろうが、こういった進化は、少なくとも新規カスタマーには歓迎されそう。
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ナビゲーションシステムはクーパーではオプション(17万8000円)、クーパーSでは標準装備
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センター・ディスプレイの周囲には各種操作に応じて照明が変化するLEDリングが備わる
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運転席正面のメーターは速度計が主役で、タコメーターは左脇に配置。燃料計は右側のバーグラフで表示
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乗降性は相変わらずだが、先代に比べて明らかに広くなり、座り心地も良くなった後席。乗車定員はこれまで通り4名
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クーパーも同Sもファブリックシートが標準(柄は異なる)。リクライナーは従来の内側ではなく、クロスオーバーと同じ外側配置になった。
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MINI コントローラー。ダイアル(回す、押す、など)、タッチパッド、各種ショートカットキーを備える
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トランク容量はクラス最小レベルだった先代(160リッター)から51リッター増えて211リッターに
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クーパーの場合は、パンク修理キットを標準装備し、ランフラットはオプションになる
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エンジン始動・停止はトグルスイッチで行う。横に並ぶのはアイドリングストップオフボタンやDSCオフボタンなど
基本性能&ドライブフィール
1気筒減っても、トルクは約4割増
今回メインで試乗したのはクーパーの6AT(車両本体価格280万円)。
エンジンは1.5リッター直3の直噴ターボ。3気筒と言うと、コスト重視のエントリーユニットかと思いがちだが、この1.5リッター3気筒エンジンは、現行3シリーズにもいずれ縦置化されて搭載されるという本気ユニット。ハイチューン版(231ps、32.6kgm)は、プラグインハイブリッドのスーパースポーツであるBMW i8にも搭載される。また、1気筒あたり500ccのモジュラーユニットなので、もう1気筒足せば新型クーパーSの2リッター直4ターボになり、倍の6気筒にすると現行BMWの3リッター直6ターボになる。
とはいえ3気筒のクーパーでも、最高出力は136ps、最大トルクは22.4kgm(220Nm)とけっこうハイパワー。特にトルクは先代クーパー比で約4割増しにもなり、1.6リッタースーパーチャージャーだった初代BMW MINIのクーパーS並み。技術の進歩はすごい。車重はMTで1170kg、ATで1200kg。
クーパーでもパワーに不満はない
走りだすと、2000~3000回転くらいでは、言われなくても「3気筒かなぁ」と思わせる細かい振動やノイズは若干ある。日本車の3気筒リッターカーほど振動は大きくないが、フォード フィエスタ(1リッターターボ)やプジョー208(1.2リッター3気筒NA)と比べると、排気量が大きい分、目立つ感じ。ただし乗っているうちに慣れてしまう。そして信号待ちでは、すかさずアイドリングストップ。このあたりも新型MINIならではの部分だ。再始動もスムーズで素早い。あと、電動パワステはずいぶん軽くなった。
期待以上だったのは、トルクの力強さ。従来MINIの1.6リッターNAもトルキーなエンジンだったが、最新のダウンサイジングターボには敵わない。トルクにモノを言わせて、2000回転くらいでもドコドコドコと軽く走ってしまうし、こういう走り方だと燃費も伸びる。最高出力も136psと十分で、パワーウエイトレシオも8.8kg/psを誇る。本気で走らせると、かなり速い。クーパーでも、パワーに不満を覚えることはまずないと思う。
また、ターボエンジンとのマッチングがいいせいか、いい仕事をするのが、先代から継続する6AT。心なしか従来型6ATよりフリクション感が少なく、変速レスポンスも速く感じられる。ブリッピングでの回転合わせも、派手ではないが、そつなく決める。なお、走行モードをスポーツ、MID(中間)、グリーン(燃費重視)から選べる「MINI ドライビング・モード」という機能もオプションであるが、試乗車には付いていなかった。
ちなみに、0-100km/h加速性能(メーカー発表値)は、ワンが9.9秒(MT)と10.2秒(AT)、クーパーが7.9秒(MT)と7.8秒(AT)、クーパーSが6.8秒(MT)と6.7秒(AT)。クーパーとクーパーSは、ATの方が0.1秒速い。
少し大人になった「ゴーカート・フィーリング」
ワインディングへ行くと、シャシーも新しくなったことが体感できる。BMW MINIと言えば、「ゴーカート・フィーリング」と称する機敏なハンドリングが売りだが、2代目ではそれがやや穏やかになり、新型ではさらに落ち着きが増した印象。試乗したのがクーパーで、15インチの標準タイヤを履く仕様だったせいか、ステアリングを切った時の反応はずいぶん穏当になり、コーナリング中に段差で横っ飛びするようなこともなくなった。
ただ、試乗車が履くハンコックの175/65R15 エコタイヤ(Kinergy eco)は、グリップ性能や横剛性が低く、ちょっとペースを上げるだけでオーバーステア気味にリアが流れ、それをDSCで抑える感じが強い。もうちょっとグリップが欲しいところで、その点ではオプションの16インチ(195/55R16)や17インチ(205/45R17)がベターかも(18インチも選べる)。また、オプションで電子制御可変ダンパー「ダイナミック・ダンパー・コントロール」(7万7000円)も用意されているが、これはかなり走りに振ったハードな設定になるようだ。
あと、乗り心地に関しては、「当たり」自体はずいぶん柔らかくなったが、凹凸に応じて上下動するのは気になるところ。また、大きな段差ではハーシュネスも入る。これも装着タイヤによって多少印象が変わるかもしれない。
直3ターボの実力は、高速道路で知るべし
新型クーパーの実力を知るなら、高速道路での試乗が手っ取り早い。すでにクーパーでも動力性能は十分と書いたが、高速道路を走らせると、十分どころか十二分以上なことが分かる。100km/h巡航時のエンジン回転数は6速トップで約2100回転。そのあたりの回転域だと、多少3気筒っぽい振動とノイズを感じさせるが、アクセルを踏み込むや否や、4気筒エンジンに遜色ないスムーズさとパワーで、爽快に加速してゆく。これだけ走るなら、クーパーSは要らないと思えてしまう。静粛性(エンジンからのノイズ、ロードノイズ、風切り音など)も、まったく問題ないと思った。
ちなみに最高速(メーカー発表値)は、ワンが195km/h(MTとAT共通)、クーパーが210km/h(同じ)、クーパーSが233km/h(AT)、235km/h(MT)。
ただ、高速道路でも気になったのは、タイヤのグリップ感や接地感がやや薄いこと。もともとMINIは直進安定性を売りとしないが、高速域でそれを保つのに少し気を使うほか、小刻みな上下動も気になった。この傾向はオプションの17インチ仕様でもあるようだ。
その他、安全装備の充実も、新型MINIの大きなポイント。衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)や前車接近警告機能といった、このクラスの最新モデルに欲しいものが標準装備になったほか、オプションでACC(BMWではアクティブ・クルーズ・コントロールと呼ぶ)も選択できる。
試乗燃費は11.0~16.9km/L。JC008モード燃費は17.9km/L
今回はトータルで約200kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が11.0km/L。また、一般道と高速道路をそこそこ飛ばした区間(約30km)が14.4km/L、一般道を大人しく走った区間(約30km)が16.9km/Lだった。
JC08モード燃費は、試乗した6ATが17.9km/Lで、6MTなら19.2km/L。ちなみにクーパーSでは、6ATが17.6km/L、6MTが15.8km/L(ATの方が低燃費)。指定燃料は当然プレミアムで、タンク容量はクーパーが40リッター、Sが44リッターだ。
ここがイイ
あらゆる点で実用性が高まった
ボディサイズが大きくなり、MINIがミニじゃなくなったとも言えるが、実用車である限り、やはりこれくらいの大きさ、広さはあった方が、実用面での不満はないと思われる。まぁ、狭さをものともしないエキセントリックなところがMINIの売りでもあるが、とりあえず今回も正常進化と言えるのでは。
ナビのディスプレイが理想的な配置になったこと。センターメーターの廃止は、デザイン的には賛否あると思うが、機能性の向上を天秤にかければ、従来MINIのオーナーでも割とすんなり納得できるのでは。ただ、運転席正面のメーターに限れば、従来のタコメーター&デジタル速度計の方が見やすかった気もするが。
iDrive同様、MINI コントローラーの操作には多少の慣れが必要だが、走行中でも大半の操作ができるのは、この手のインターフェイスならでは。また、アウタードアハンドルの形状変更やパワーウインドウスイッチのドアへの移設も明らかに良くなった部分。
ここがダメ
オートライトは必須。慣れが要る純正ナビ&オーディオ。クーパーの標準タイヤ
ライトスイッチは、BMWなど欧州車に多いインパネ配置のダイアル式になったが、ダッシュボードのかなり下の方にあり(ドライバー右膝のあたり)、高速道路のトンネル出入口などでのオン・オフ操作は、手探りになってしまう。オプションのオートライトは必須だ。
純正ナビ(クーパーではオプション)はやはり選んでおきたいが、それを操作するMINI コントローラーは、iDrive同様、やはり慣れが必要。特にオーディオ関係の操作は、ラジオのAM/FMの切り替えが面倒で、選局もしにくかった(ドイツ車では珍しくないが)。
本文でも触れたように、クーパーに標準の175/65R15サイズのエコタイヤは、MINIらしいハンドリングのほか、安定性や乗り心地を損なっている印象を受けた。見栄えだけではなく、走りを重視するならオプションの16インチや17インチ(ランフラットになる)も選択肢に入れたいところ。
総合評価
「昔は良かった」式の話はかんべんしてほしい
MINI、ビートル、911、500(チンクチェント)は、今も昔の姿で出ていますという御三家ならぬ御四家だ。中でもビートルと911の最新型(それぞれThe Beetle、991)は、性能を向上させながら、明らかにスタイリッシュになった。手前味噌だが、The Beetleに関しては発表当時から、なんだか先代(New Beetle)とは大違いだぞと思ってたが、現物を見ているうちにとうとう買ってしまったくらいだ。ワイド感が増してて妙にカッコいいと思うのは、オーナーゆえの目の曇りだろうか。もはや全幅は1825mmもあり、ミラーも出っ張っていて、ワイドトレッドで、ヘタするとタワーパーキングに入らないくらい。同様に991も、ずいぶん幅広く大きくなったが、これまたずいぶんカッコよくなった。基本的なカタチはオリジナルと同じでも、サイズの制約を緩めれば、レトロなデザインでもカッコよくできるわけだ。
で、今回のMINIだが、もちろん悪くない。デザインは一見変わらないように見えるほど、まさにMINIだし、改良点は本文で書いたようにたくさんあって、「今の」クルマになっている。センターメーターを廃止するなど、古き良きモチーフは消えているが、それは911やビートルも同じようなもの。クルマは進化してなんぼだと思うので、全面的に支持したい。往年のクラシックカー好きは嘆くかもしれないが、クラシックカー好きはホントのクラシックカーを手に入れて趣味で愉しむべき。「昔は良かった」式の話はかんべんしてほしいもの。
微妙ながら、重要な変化
ということで、新しいビートルに満足している身としては、MINI好きが今度のMINIを買ったら、きっと満足できるはず、と言いたいところだが、2、3、気になることがないでもない。ひとつは試乗したのがクーパーの標準(15インチタイヤ)仕様だったせいか、MINI特有のゴーカートフィーリングが少し大人しくなったように思えたこと。それはクルマとしては正常進化だが、今までのMINIのイメージとはちょっとばかり違う感じ。難しい注文だが、ゴーカートフィーリングを残しつつ、より洗練させることは、シャシーが様々に流用されるであろう昨今はやはり難しいことなのだろうか。
それからサイズアップはしたものの、その外観からMINIらしい低く構えた印象は少し失われたように思えたこと。例えば先代より大きくなったフロントグリルは、ボンネットと共に位置も高くなったように見えるが、グリル位置が低いクラシックMINIや先代MINIの方が安定感があってカッコよく見える気がする。
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左から今回のF56型、先代R56型、先々代R50型、そしてクラシックMINI
(photo:BMW AG)
そしてフロントフェンダーの峰が曖昧になったことも、微妙ながら重要な変化だろう。衝突安全や歩行者保護のためにボンネットが伸び、厚みを増して、大きく形状改良されたのだろうけど、911やビートル同様、MINIもオリジナルデザインの大きな特徴がフェンダーの峰にあった気がするのだ。
というようなことを除けば、あとはいいのではないかと思う。センターメーターの代わりにディスプレイを入れるのは当然だと思うし、そこではMINI Connectedでもって、Facebookからツイッターまでやれるようだ。まあiPhone専用のようなのでアンドロイド派としては関係ないのだけど。ヘッドアップディスプレイとか、衝突被害軽減系の安全装備とか、やっぱり最新車はいい。
日本のレトロデザインカーはあり得るか
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(photo:BMW AG)
私はビートルを買ったし、友達は先代ベースだが、MINI クラブマンを買った。お金持ちの知り合いは911を買っているし、昔の憧れだったクルマが、今こうして最新型で買えるってことは、歳をとった者にとってはすごくありがたいこと。となれば、日産スカイラインだってハコスカみたいなカタチのままモダナイズしたモデルなら、月販目標200台なんてことはないと思うし、ハコスカにステアリング バイ ワイアが搭載されてたりしたら、それこそ面白い。日本の自動車産業も、もう50年以上やっているのだから、そろそろ新しいデザインのクルマにばかり、こだわらなくてもいいんじゃないのか。そういえば日産は先のモーターショーに、レトロなデザインのIDxフリーフローやiDX ニスモを出してたけど、あれはショーモデルで終わってしまうのだろうか。
しかし、市販するにあたって障壁となるのは、ハコスカが日本のクラシックアイコンであって、世界のクラシックアイコンではないことなのだろう。グローバルなクルマを作らなくてはならない昨今だが、世界のアイコンとなった日本の古いクルマとなると、なかなか見当たらない。トヨタ 2000GTや日産のZはどうだという声も聞こえてきそうだし、マツダ ロードスターもデビュー以来、そろそろクラシックアイコンの仲間入りできるくらいの時間が経過しているから、こういったあたりに期待するしかないか。とはいえ、日本人による、日本人のための、日本人が愛するレトロデザインカーが出てくる可能性は、今のところ残念ながら低い。グローバルで売れるレトロデザインカーは羨ましいなあと思いつつ、新型MINIと自分のThe Beetleに和んだ2014年の初夏であった。