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愛知県が運営する「愛知県ITS推進協議会」、その71回目の会員セミナーが3月23日、ミッドランドスクエアの5階会議室で開催された。テーマは「知能が拓く新たなモビリティ」。
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名古屋大学未来社会創造機構知能化モビリティ部門特任教授/二宮芳樹氏
最初の講演は名古屋大学未来社会創造機構知能化モビリティ部門、特任教授二宮芳樹氏が「高齢化社会のための自動運転技術」と題して、自動運転技術の進化は高齢者のみならず全ての人向けの支援であると、その研究成果を発表した。名古屋COI(センター・オブ・イノベーション)モビリティ部門は、企業と大学が一つ屋根の下で行う9年間の研究プロジェクトで、今年は3年間の第一フェイズ、その最終年となる。
高齢者向け自動運転技術では、高齢者に多い出合い頭、右左折時の事故を防ぎ、高齢者の苦手な夜間や右左折、狭路の運転をサポートするため、人が運転の主体で、クルマは助手席指導者としてサポートする「黒子型運転支援」の様々なアプローチが紹介された。
名古屋大学では規範ドライバーの先読み運転のように導く自律走行の運転支援を実証実験で成立させている。このため約3000キロの高精度運転データを集め、実際の道路をセンシングして高精度地図を作り、歩行者の向きを93%まで認識できる世界トップレベルの認識技術を実現。そして死角にある移動物の存在や動きを予測して状況を判断できるようにし、ベテランドライバーの規範的な運転行動を再現できるようにしたという。
それをさらに拡張し、ある一台がセンシングしたデータを、同様の機能を持つ他車と通信して共有することで、通信機能を持たない車両が混在走行しても、その車両を認識できるダイナミックマップの仕組みも紹介された。
二人目の講演者はアイシン精機基礎技術開発部技術開発グループの安藤充宏氏。開発された超小型モビリティILY-Aを紹介しつつ、小型センサユニットによる電動車いす型モビリティの衝突リスク回避技術を解説した。
三人目は「富士通のAIに関する最新技術と事例紹介」をテーマに、富士通総合商品先約本部新技術事業化推進室AI活用コンサルティング部の橋本文行氏が講演。2010年以降の第三次AIブームの中で富士通がすすめるAI技術を紹介した。「ロボットが東大に入れるかプロジェクト」ではすでに数学で偏差値64以上を獲得しているという。数学とはいえ計算だけでなく、問題に答える日本語能力も必要になる為、高度な技術を要するという。
自動運転のクルマとそれにも搭載されたAIが、やがて生活のインフラとなっていくのだろう。今回はその先端技術に接する有意義なセミナーとなった。
DAYS Inc.
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アイシン精機基礎技術開発部技術開発グループ/安藤充宏氏
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富士通総合商品先約本部新技術事業化推進室AI活用コンサルティング部/橋本文行氏