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愛知県ITS推進協議会 第79回会員セミナー「IoTを活用した新たなモビリティサービス」:ITS DAYS

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愛知県ITS推進協議会は2019年2月5日、「IoTを活用した新たなモビリティサービス」をテーマに、第79回会員セミナーをミッドランドホール会議室(名古屋市中村区 ミッドランドスクエア内)で開催した。 講演には、デンソー MaaS開発部 デジタルイノベーション室の榎本 敦之氏と、東日本旅客鉄道 技術イノベーション推進本部 ITストラテジー部門の中川 剛志氏の2名が登壇した。

デンソー 榎本氏「社内にシリコンバレーをつくる ~ MaaSの企画・開発・運用保守を担う「デジタルイノベーション室」の取り組みの紹介 ~」

デンソー MaaS開発部 デジタルイノベーション室の榎本 敦之氏
榎本氏は早稲田大学 理工学部を卒業後、日本電気(NEC)やNECビッグローブ、NECでの海外サイバーセキュリティ事業などを経て、2018年にデンソーに入社。現在は、100年に一度と言われる自動車業界の大変革期に対応するため、2017年の組織改編で新設された「デジタルイノベーション室」にて、新しいモビリティサービスの立ち上げに従事している。 同室は、Uber、Google、Amazonといった自動車業界における新たな競合、いわゆるデジタル ディスラプターと対抗し、今後のCASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)およびMaaS(サービスとしての移動手段の提供)時代において、特にモビリティサービスの企画、開発、運用保守を一貫して担う組織。従来の企業文化にとらわれない開発環境とするため、同室のオフィスは愛知県刈谷市の本社から2時間、東京支社から約30分の、企業版「スープの冷めない距離」となる新横浜に置かれている。
 
最初は2名で始まった同室スタッフは現在50名以上で、全員が社内公募やキャリア採用で集まった有志だという。また、システム開発には、様々な作業をこなせるフルスタックITエンジニア(多能工)を配し、メンバーが欠けても開発に支障のない体制としている。 システム開発の手法については、シリコンバレーの「ディスラプターと同じ土俵に立つために、同じ道具、同じ文化で、同じ体制を構築」すべく、最初に仕様書や設計書を作ってから開発に着手する従来のウォーターフォール型の開発ではなく、ユーザー目線で作りながら考えるアジャイル型の開発を採用。1チームあたりおおむね7名、最大でも9名の小編成で、壁一面を使ったボードに開発要件を書いた付箋を優先順位や進捗状況に合わせて貼るという、一見アナログな手法をとるのが理解度を高め、スピード感を保つ上で重要だという。また、今後、求められる開発のゴールは、製品そのもの(モノ)や、所有による満足度ではなく、体験や便利さなど「コト」の価値であり、ユーザーが本当に求めている必要最低限のもの、いわゆるMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)を素早く作ること、そして市場に受け入れられるサービスを提供することが重要だとした。

中川氏「JR東日本におけるMaaS戦略とモビリティ変革コンソーシアムについて」

東日本旅客鉄道 技術イノベーション推進本部 ITストラテジー部門の中川 剛志氏
1991年にJR東日本に入社し、通信業務の保守などに従事した中川氏は、2001年から同年に設立された同社フロンティアサービス研究所でICTの研究開発を行ない、現在は2018年9月に設立され、会員企業などと連携して様々な実証などに取り組む「モビリティ変革コンソーシアム」で事務局長を務める。同氏は、東北から関東圏に至る巨大な鉄道ネットワークを運用管理する同社における、ICTの活用やMaaS戦略を紹介した。
 
ICTについては、実用化されているものとして、モニタリング装置を搭載した営業車によるスマートメンテナンス「CBM(Condition Based Maintenace)」や、広く一般利用されている「JR東日本アプリ」(2018年10月時点でのダウンロード数は日本語版が330万DL、英語版が30万DL)、あるいは、車内の音波ビーコンによって列車ごとに乗客に情報提供を行う「山手線トレインネット」などを紹介。また、目下アジャイル開発によって準備中のJR東日本アプリのリニューアルプロジェクト「Go! by Train」なども合わせて紹介した。 「運行状況の見える」化についても、動画で紹介。事故情報、改札機データ、車両の応加重データ(混雑状況が分かる)、東京圏輸送管理システム「ATOS」実績ダイヤを使って、輸送障害などの影響を空間的・時間的に把握できる仕組みなども紹介した。
 
AIの活用については、ストレスの多いコールセンターのオペレーター業務を支援するために、音声認識を使って自動的に問い合わせ内容を理解し、回答例などをモニターに次々に表示するIBM ワトソンの活用例を紹介した。 MaaS戦略については、最も先進的な例として、スマホによる一括決済や月額固定の乗り放題パッケージなどを用意したMaaS Global社(フィンランド)のモビリティサービス「Whim(ウィム)」に触れつつ、JR東日本でも2018年7月にグループ経営ビジョンとして「変革2027」を発表したことを紹介。出発地からの「ファーストワンマイル(最初の1.6km)と目的地前の「ラスト ワンマイル(最後の1.6km)」を担う交通手段と、その中間を担う公共交通との連携が重要だとした。
 
また、会員企業と連携して行う「モビリティ変革コンソーシアム」においては、出発地から到着地までのシームレスな移動を実現する「ドア to ドア推進ワーキンググループ」、次世代の街のあり方や公共交通の役割を考える「スマートシティ ワーキンググループ」、公共交通機関においてロボット技術を活用する「ロボット活用ワーキンググループ」において、SUICAを使ったMaaS実証や、BRT専用道への磁気マーカー設置によるバス自動運転の実証、山手線 各駅への案内AIロボット配置プロジェクトなどが紹介された。

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